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ここが知りたい、税金についてQ&Aで解説
◆ 税務申告書の提出期限(法人) ◆
税理士・経営士 谷澤 佳彦 氏
日本経営士協会 理事
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谷澤佳彦先生は谷澤佳彦税理士事務所の所長で、税理士業
と共にコンサルティングにもご活躍中です。
また、最近は「日本経営士協会 首都圏支部長」として活
躍なさっております。このシリーズでは税金について税理士
として、ご活躍の谷澤佳彦先生、質問は経営士樋渡弘先生が
致します。
Q:ふとした疑問です。税務申告書は、事業年度終了後であればいつ提出しても
いいのでしょうか?
A:税法では事業年度終了後2ヶ月以内に「確定した決算に基づき」申告書を提
出することを定めています。但し、消費税は確定決算を求めていません。
Q:確定した決算とは何でしょうか?
A:株主総会で承認されたものです。会計監査人の入っている企業では、株主総
会において決算は報告事項になりますが、その報告がなされた株主総会日を
税法では確定日とみなします。
でしょうか?
A:会社法第124条の規定により3ヶ月以内となります。税法とはずれます。
Q:それでは決算が2ヶ月以内に確定しないことがあり得ますよね?
A:そうです。税務申告書は2ヶ月以内に提出できないことが起こりえます。こ
のような事態が生じる場合には、申告書の提出期限延長を申請し、承認を受
けることができます。2ヶ月以内に決算が確定しない事由の例として、会計
監査人の監査を受けなければならないということを税法では挙げています。
申告期限の延長承認があれば、株主総会終了まで申告書の提出を留保できま
す。但し、確定決算を求めていない消費税は申告期限の延長措置がありませ
ん。
Q:申告期限が延長されるということは、税金の納付期限も延長されるのでしょ
うか?
A:残念ながら納付期限の延長措置はありません。納付期限は2ヶ月以内です。
Q:申告書を提出していないのに、納付を行うのですか?
A:申告書の提出期限延長の場合、2ヶ月以内に納付しなくとも利子税、すなわ
ち金利を支払えば問題ありません。税法では罰金を損金(税務上の経費)と
することは原則できませんが、この利子税は罰金という意味ではないので、
損金とすることができます。
なお、実務上はこの利子税が無駄なので、2ヶ月以内に予納という形で納付
します。そして申告時には予納額を納付すべき金額から差引きます。通常予
納額=納付すべき金額です。
Q:中小企業で申告期限の延長を適用している会社は殆ど無いですよね?
A:まずありません。会計監査人、すなわち公認会計士の監査を受けませんので
決算の確定に時間を要しません。そもそも経営者一族=株主が大半なので、
社長がOKを出せば決算確定のようなものです。
Q:モヤモヤがスッキリしました。ありがとうございました。