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経営コンサルタントの、トンボの目
◆ 仕事に慣れても狎れてはいけない ◆
経営コンサルタント事務所 B・M・S・21代表 山本 修
日本経営士協会 理事 関西支部長
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山本先生は、美容サロンを独立開業され、その経験を元に
美容サロン経営者に「商品管理」「顧客管理」「計数管理」
を提案し、サロン経営の生産性向上に成果を上げてこられま
した。近年は中小企業のコンサルタントとしてもご活躍中で
す。
また「日本経営士協会 関西支部長」として活躍されてお
られます。
今年は記録的な猛暑が続きましたが、皆様にはお元気でご活躍の由お慶び申し上
げます。日本全国各地で、100歳以上の老人の不明のことが問題になっていま
すが、自治体等のコメントをよく聴いてみると、法的な不備も一部ある様に思え
ますが、その殆んどは現代社会における家族の絆の希薄さを根底として、縦割り
行政のひずみと、担当者の仕事への「狎れ」と「無責任」に原因があるように感
じますが、皆さんは如何に思われますか。
■ 老オーナーの言った「三つのなれ」
「トンボの目」も第二稿となります。今回も筆者の身の回りでの出来事で恐縮で
すが、筆者が十年来顧問先として契約して居ります美容サロンの社員全体会議に
参加したときのことです。通常では参加しない89歳になる同店のオーナー(現
会長)が、先日買物の途中で二十年来のお客様に会った時、「貴方のお店では、
最近、客の希望を聞く前に(何時もの通りで良いですか)と言われる、これでは
希望があってもその希望をいいにくい」というクレームを受けたそうです。(筆
者が提案した)「顧客満足と顧客優先」をテーマにしている当店に限って、その
様なことは無いものと思っていたのに非常に残念です。と自分を始め幹部の指導
不足を社員に詫びました。つづいてオーナーは、社員に向かって、「なれ」とい
う言葉には三つある、「馴れ」、と「慣れ」、そして「狎れ」の「三つのなれ」
について、次のように話をしました。
一番目の「馴れ」は、コミニュケーションが取れ、親しくなり、馴れ親しむこと
を言います。お客様と親しくなることは大切なことです。然し、「親しき仲にも
礼儀あり」というように、節度を保った親しさで有ることが大切です。二番目の
「慣れ」は、技術を取得、習熟し、経験を積んで熟達して習慣化することです。
これは我々美容師にとっては欠かせないものですが、慣れすぎて疎かになっては
いけません。三番目の「狎れ」とは、聞きなれない言葉ですが、ものごとになじ
み慣れすぎて、そのために新鮮な感覚を失うことを言います。慣れることは必要
ですが狎れてはいけません、お客様に対しては常に新鮮さをもって対応するよう
にして下さい。と言い最後に、美容師は、日々同じ職場で同じような仕事を繰り
返していると、「慣れ」が、「狎れ」に変わり思わぬ失敗を招くことも多々あり
ますので十分注意して下さい。と締めくくりました。
この話を聞いた数日後、産経新聞に、前・警視総監米村敏朗氏の「慣れ」と「狎
れ」という記事が掲載されていました、この記事を目にしたとき、顧問先のオー
ナーの言葉の重さと、コンサルタントとしての責任の重さを痛感するとともに、
「慣れても、狎れるな」を肝に銘じた次第です。
筆者より優秀な読者諸氏に対し失礼とは存じますが、「初心忘れず、慣れても、
狎れるな」の言葉をお贈り致します。