■■ ここが知りたい、税金についてQ&Aで解説
税理士・経営士 谷澤 佳彦 氏
日本経営士協会 理事
【プロフィール】
谷澤佳彦先生は谷澤佳彦税理士事務所の所長で、税理士業・経営士業を中心にご活躍中です。また、最近は「日本経営士協会 首都圏支部長」として活躍なさっております。このシリーズでは税金について税理士として、ご活躍の谷澤佳彦先生、質問は経営士俵一史先生が致します。
Q:基礎控除とは何でしょうか?
A:少額の遺産を遺した方(被相続人)に対しては課税を免除する範囲です。現行の規定では「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」が基礎控除です。これを「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に縮小するのです。4月1日以後の相続に予定されています。
Q:非課税範囲を4割も縮小するのですね?いま一つピンと来ない数字ですが。
A:私の経験からいうと、資産家と言われる方々は当然として、東京23区内で先祖伝来の土地があり、一戸建ての家があり、これ以外にそこそこの金融財産がある方が申告対象となっていました。もっとも特例を適用して納税額は殆どゼロとなった例もありました。
Q:非課税範囲が縮小されるのですから、どの程度の資産を所有する方まで相続税の申告対象となるのでしょうか?
A:資産の評価次第で申告対象となるか否かが決まるので一概に申し上げられませんが、都内でマンションを保有する方でも申告対象となる方が増えるのではないでしょうか?某経済雑誌によりますと、上場企業の部長クラスも対象では?と記載しています。
Q:今から課税対象か否かを調査した方がいいでしょうか?
A:一度計算されることをおすすめします。土地は路線価×面積、建物は固定資産税評価額で計算されてはいかがでしょうか?土地の評価は相当難しいものがありますが、概算計算では路線価×面積で十分でしょう。路線価が付されていない地域では固定資産税評価額×1.1でよいでしょう。
Q:仮に基礎控除額を超えるようでしたら何か対策はありますか?
A:基本的には相続税対策は生前贈与です。受贈者1人当り年額110万円までの非課税枠があります。これを何度にもわたり利用して贈与を繰り返すのです。また、婚姻歴20年以上の配偶者には居住用財産を2,110万円まで無税贈与が可能です。
Q:2,110万円とは大きいですね?
A:配偶者の生活拠点確保の意味から税務は配偶者を応援しています。但し、所定の書類を添付した贈与税申告が必要であり、更に、財産をもらった方には不動産取得税が課されます。この不動産取得税は結構な金額ですので、要注意です。
Q:いずれにせよ税理士に相談した方が良さそうですね?
A:はい、是非そうして下さい。日本経営士協会会員に税理士が数名いらっしゃいます。是非税理士をご活用下さい。
Q:ありがとうございました。