日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。
■ 今日のおすすめ
『原発はいらない』(小出 裕著:幻冬舎ルネッサンス新書)
■ 3.11を忘れない(はじめに)
3月が来ると、2年前の東日本大震災のことを、改めて思い出します。東北の方々は勿論、東日本のあちこちに、傷跡はまだ残っています。私は何もできず、すまない気持ちから、機会あるごとに募金をしています。
堺屋太一氏が、東日本大震災を「第三の敗戦(第一:明治維新、第二:第二次世界大戦)」と位置づけていますが、私たち全ての日本人は、ここから立ち上がる努力をこれからもしていくことを求められていると思います。
言いかえると、3.11を境に、時代の流れは大きく変わったのです。その流れの変化に対応する事を、私たちは求められているのです。
因みに、財務省の発表した2011年、2012年の貿易収支は赤字に転落しました。しかも赤字の幅は増加の一方です。中国との関係悪化も影響がないとは言えませんが、なんといっても原発の停止に伴う化石燃料の輸入増加です。
今日のお勧めの本は、40年以上原子炉の研究をしてきた著者が、原発事故から半年後に出版した本です。
■ 原発に関する知見が、いっぱい書かれています(知らないことが多いな!)
【天然のウラン鉱石から核物質が発明された歴史】
アメリカの先住民が、「これ(ウラン)には手を付けるな」と言い伝えてきたウランは半減期が45億年の放射能物質で、地球の歴史46億年の中で、今なお自然界に存在し続けています。ウラン鉱石には核分裂を起こす質量数235(ウラン235)が0.7%と核分裂を起こさない質量数238(ウラン238)が99.7%含まれています。99.3%のウラン238を人工的にウラン239(プルトニューム)に変えると、核分裂物質に変わります。これらの研究開発が18世紀~20世紀にかけて欧米で成されたのです。
健康に被害のないとされる放射線被ばく線量は、一般人は一年間で1ミリ・シーベルト(1,000マイクロ・シーベルト)。私は年1回CT検査を受けていますが、1回6.9ミリ・シーベルト(6,900マイクロ・シーベルト)ですが、医療行為は別のようです。
原発事故直後は頭に入っていましたが、いつの間にか「エート」と調べないと判らなくなってしまいましたね。
その他のデータも含め、詳細はこの本をお読みください。
■ 「いまさら原発?」と言わないでください(むすび)
「いまさら原発?」と言われることを承知で、この本をお薦めしています。それは、この本を読み、二つのことに思いを至らせて頂きたいと考えるからです。
一つは、日本が生き残るために進む道は、今まで歩んできた道ではないと思います。大きく流れが変わり、その流れは緩めることができたとしても、止めることの出来ないものではないでしょうか。
「何をなすべきか」「何をなさざるべきか」を真剣に考える時期に立たされているのではないでしょうか。
二つは、原発事故などによる負の資産(風評被害など)を解消する方法は、世界から信頼されている日本にはあると申し上げたいのです。事実既に、厚い壁を工夫しながら乗り越え、成功しておられる方々が多くおられます。
原発に係るリスクの減少・解消も、日本の優秀な研究者・技術者の方々が対応策を考案・開発して下さると期待しています。このような事故が起きた日本にしか出来ない事と思います。世界レベルでの技術協力、原発分野へ今まで以上に人材が集る政策が求められるのではないでしょうか。
どんな時にも、絶望ではなく、希望を持って進んでいきたいと思うこの頃です。
【酒井 闊プロフィール】
企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。
【 注 】
著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。